周辺は山に囲まれた緑豊かな農村地で、古い住宅の建て替え工事である。昨今の水害の被害の影響のあるエリアでもある。
塀に囲まれた広い敷地内には、いくつもの土蔵と通り門と離れがあり、その既存建築物との調和が最大の課題であった。
落雪させるため、日射を受けるために、北側は5寸勾配、南側は2寸勾とし、変形の切妻型屋根とした。
地産地消、SDGsの考え方に基づき太陽と薪のエネルギーだけで温水を作り、暖を取り、夏場の冷房は井戸水の冷たさを熱交換することで除湿冷房をしている。
水害のリスクを回避するため床の高さを地盤面より1m上げ、そのまま土間リビングが、テラスへとのびている。
テラスには深く軒を出し、テラスと土間を繋げて広々と雨の日も雪の日も外を楽しむことができる。
リビングの上部は大きな吹き抜けとし、薪ストーブから煙が立ち上るようなイメージで、有機的に上部へ伸びていく空間としている。
冬の寒さの厳しい場所で、断熱を強化し、内と外をつなげる。暖かく快適な内にいると厳しい外の景色も美しいものとなって目に映るだろう。
- 土間の家
- 設計・監理
- 長野県
- 2021年竣工
- 木造2階建て
- 写真:堺健司
- 施工:中野土建株式会社